さすがにもう音楽の授業では歌われないのかも知れないが「かあさんの歌」という昭和時代の楽曲の歌詞に、母親に「せめてラジオ聞かせたい」というフレーズがある。

1960年生まれの私は、すでにテレビが家にあるのが当たり前の世代だったので、この歌詞を初めて聞いたとき「へぇ、そうなんだ」と感じた。都会に出てきた息子が、故郷のお母さんにラジオの楽しさを体験させてあげたい、と思う。それほど、ラジオが最新のハイテク商品だった時代が少し前にあったのだ、ということに気づいた瞬間だった。

私の中学時代は、今の標準的なテレビの4分の1の大きさもない小さいブラウン管のテレビ(それもよく壊れる)が居間にあって、野球中継やアニメを見たあとは、自分の部屋に戻ってラジオを聴くというのが一般的だった。

ラジオが、今のスマートフォンと同じような役目を果たしていたのだ。

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恵比寿UX代表・山田勲Twitter@ebisuux